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子供の反対咬合(受け口)

症状と解決方法

症状

乳歯列期にすでに前歯の噛み合わせが逆になっている症例は、ほぼ間違いなく顔の骨組みにまで影響が広がっている骨格性の反対咬合と言っていいでしょう。特に、ご両親や祖父母、兄弟、いとこなどに同じ様なお顔立ちで反対咬合になっている人がいたら、遺伝性の可能性が高いです。

20年ほど前までは、効果的な治療法が無く、手をこまねいているうちに症状が悪化し、最悪の場合、矯正治療を小さいうちから受け続けていたにもかかわらず大人になってから手術をして整形外科的に治すことも多かったのですが、現在では矯正専門医の中では治療法も確立し、安心して治すことができるようになっています。

しかし、子供の歯並びをよく観察していないと、見逃してしまうことも多く手遅れになるケースもよくあります。また仮に気づいていても、大人の歯に生え替わるまで様子を見ようとか、自然に治るかもしれないと自己判断して放置されることもあります。しかし、乳歯列期で反対に噛み合わせている場合は自然に治る可能性はほとんどなく、むしろお顔の成長とともに症状がさらに悪化していく場合がほとんどですから注意が必要です。

問題の解決方法

この時期の治療としては、歯を移動させると言うことではなく、上と下の顎骨の大きさと形をいかにバランスよく発達させるかと言うことが中心となります。したがって顎の骨がまだ小さいうちに早期発見し早期治療することが治療成功の鍵となります。

精神発達の度合いにより、治療が受け入れられるかどうかは個人差がありますが、早い子だと3歳くらいから治療にはいることができ、1年くらいで治すことができます。

ただ一時的に良くなっても再発する場合もあるので、治療の継続は必要です。きちんと治せる年齢的限界は男の子の場合で12歳くらいまで、女の子の場合で10歳くらいまでといわれていますが、個人差がありなるべく早く治療開始した方が、より簡単な方法でより短い期間で治すことができます。

反対咬合はできるだけ治した方がよい?

乳歯列期(2~6歳)の反対咬合については、よく受ける質問です。ご両親が必ず気にされていることは、治すべきか、治さないで様子をみるか、についてのようです。

これについて結論からお話しますと、乳歯列期の反対咬合は、どのような場合もできるだけ早く治した方がよい結果となります。先ずその理由として初めにお伝えしなければならないことは、現在の技術で乳歯列期の反対咬合は無理がなく治すことができるということです。

多くの症例では、6~10ヶ月位でとにかく反対咬合は治すことができます。全身的な特別な疾患、大きな異常の場合は治すことができないこともありますが、これについては初めの診断の時に判断できます。

どうして反対咬合は早い時期に治した方が良いの?

反対咬合は下顎骨が前方にズレていることが原因です。人間の成長発育期間の初めのうちに下顎骨が前方にズレているのを治してしまうと、その治った状態から更に発育が始まることになります。

もし何もしないで放置した場合には、下顎骨が前方にズレた状態ですべてが発育するので、骨の形や顔の筋肉もそれに適応した形で発育してしまいます。下顎骨が前方にズレている期間が長い程、よくない形と機能を持つことになります。年齢が高くなる程、これらを治すには限界ができてくるのです。

顎関節は、乳歯列期のうちはまだ未完成の出来上がってない状態で、関節部の形は比較的平坦な形をしています。そのため乳歯列期のうちに下顎骨の前方偏位を治してしまうと、顎関節も下顎骨が正しい位置にあるように形成されていきます。
このアゴのズレを治すのと一緒に、乳歯列弓が狭窄していたり、形が不揃いなのも治します。そして反対咬合が治ってからも継続管理することで、生えてきた永久歯の前歯を正しく並ぶようにします。それで小学4年生の頃はきれいな前歯の歯並びでいることができます

何より素晴らしいのは、早い時期に治してしまうと、前述のようにその状態から発育するので、どの子も顔がより美しく品よく整ってくることです。そしてどの子も表情がきれいなことが特徴です。出ているアゴを後方に移動させることで、そして鼻梁(はなすじ)が高くみえるようになります。

発育期の初めのうちに顎の位置関係と乳歯列弓の形を良い形にしておけば、それに適応して自然の咬合が形成されます。永久歯咬合が出来てから歯列を治すと、咬合の再構築となり、歯や顎など身体への負担が大きく、また大がかりなものとなります。

もし今治さないで放置したら?

お子様が反対咬合である場合、ご自身も反対咬合を治したことがあるお母様またはお父様も、かなりおられると思います。
永久歯になってからも反対咬合は治すことができますが、その治療が大変であったことや、問題点が残ってしまったりした経験などもあると思います。これは永久歯の反対咬合を治すということが、一度出来上がった咬合を治して再構築することになるからです。例えばオトガイが出ている、長顔、下顎骨が大きい、などです。

乳歯列期すなわち幼児の時には、無理なく治すことができますが、小学校に入って永久歯がかなり生えてからの治療は難しくなります

特に今の社会状況において、小学生の時に反対咬合のままでいることは好ましくありません。早い時期から治療し、きれいな歯並びになって良い咬み合わせでいることは、お子様に心身ともに健やかな成長をさせることになるでしょう。

乳歯の反対咬合は自然に治ることもあると言われているけれど?

乳歯列期の反対咬合は、少ないですが何もしなくても治るケースがあります。この場合は、下顎骨が著しく大きくなく、また下顎骨の前方へのズレも比較的少ないような場合で、このような状態になっていると、自然に乳前歯の逆の被蓋が治ることもあります。

しかし、自然治癒の症例をみると、やはり下顎骨の前方へのズレは少し残っています。つまり完全に正しい咬合にはなっていないのです。そして永久歯が萌出した時に正しい歯並び、正しい咬み合わせになることはありません。
「しばらく様子を見ましょう」ということで自然に治ることを期待して、反対咬合の永久歯列になってしまったり、永久前歯の叢生や、犬歯がはみ出したりしないように、正しい歯並びになるように検査を受けた方が良いでしょう。